「岸和田の住宅」WORKSアップしました。
竣工2年後の昨年、カメラマンさんによる写真撮影に入りましたが、
竣工直後よりも木の色が落ち着き、住まいとしての柔らかさが出ている気がします。
玄関から吹き抜けの頂点まで続く「あらわし」の勾配天井がこの住宅のミソです。
※あらわし=現しとは:「躯体現し」とも呼ばれる建築手法で、
通常は建物の構造体の上から板やクロスを貼って内装を仕上げるところを、
あえて露出させて骨組みを見せるものです。
出展:「キノマチウェブ」https://kinomachi.jp/383/
野地板も梁も全て見えてしまうので、
「入ってくる材料がどのように見せるか」「よく見える所には綺麗なものを」等気を配らないといけません。
木材を加工してもらうプレカット工場で、
入ってきた材料を「この場所に」「あの場所へ」と設置場所を決めていきます。
そして、上棟時に現場納品されてから最終調整。
当時入社1年目だったので、「あれだけ熟考したのにまだ変えるの?」と衝撃でした。笑
(入社4年目の今では、最後に確認しつつ調整する気持ちや意味が分かります)
「綺麗なもの」といっても、私たちは基本的に木材の等級として一番低い「一等材」を入れています。
参考:株式会社ウッドベースHP「木材等級について」
http://web1.kcn.jp/woodbase/class.html
耐久性は問題が無いのに、節があるために等級が下げられてしまっているものがほとんどです。
(柱など視線に近い部分をあらわしにする場合は、「無節」「上小節」「小節」を選定する場合もあります。)
見せ方を工夫することで、無垢木材の質感を味わえる空間をコストを抑えて実現することができます。
私たちがいつも使用してる天然乾燥された吉野杉はとても木目が細かく、優しく美しい表情をみせてくれます。
そうした、等級だけでは表しきれない素材の持っている良さを自分たちでしっかり見定めて、使っていきたいと考えています。
今回はSWINGで使う木材について少し触れましたが、
改めて振り返る中で、木本来の自然な姿を許容できる空間を作っていきたいとも思いました。
Photo:平井美行
Kumazawa