阿波座の西の端、中央に共用階段を抱え込むビルの3階にあるSWINGのオフィス。
元はいくつかの室に仕切られ、オフィスや物置として使われていましたが、全ての間仕切りを取り払った一室空間とするところから計画をスタートしました。

隣接する公園への眺望のある西エリアはキッチンを配したミーティングスペースに、安定した光環境の東エリアはワークスペースとし、東西の両エリアを繋ぐ中央部には通路を兼ねつつバックヤードなどの諸機能をまとめ、コンパクトな区画ながら緩やかに繋がる3つのゾーニングで構成しています。

ミーティングスペースでは時にキッチンを使って自分たちで食事を作ったり、広々としたミーティングデスクで気分を変えて仕事をしたりと、自由な使い方が為されています。
ワークスペースには横並びで繋がるデスクを配してスタッフ間のコミュニケーションを図り、デスクから振り向けば使えるよう中央に3.6mのテーブルを置き、打合せ/作業/資料置場/収納といった多様な用途を持たせました。
両エリアを繋ぐ中央部には、国産杉材三層のJパネルで組んだ目線高さの壁を置くことで、木の温かみを与えつつ、緩やかに空間を区切りながら適度な囲まれ感を生み出しています。

以前のオフィスで使用していたアイテムを最大限活用することや、自分たちで作ることもテーマの一つでした。
デスクには天板に家具用のリノリウムを貼り、本棚には壁の色に合わせた僅かにベージュとグレーの混ざった白を塗り、収納棚として使用していたJパネルは組み直して間仕切りとし、さらにはクライアントの住まいで不要になった棚を受け継ぎ、キャスターを付けて可動式の棚として再利用しています。
建具は安多化粧合板さんの突板を使い、福嶋建具さんの工場をお借りしてスタッフたちで製作しました。

自分たちで設計したこの場をどう使いこなすか、試行錯誤は続いていきます。