ロードサイド路面店の移転プロジェクトです。
設計ご提案時に私たちが大切にしたかったことは、丹波という街の歴史性、ネット上で何でも買えてしまう今の時代における実物販店舗の役割、ドコモショップのブランディングを踏まえた画一的ではない新しい価値とコミュニケーションが生まれる場をつくることでした。

クライアントからのご要望に対し、国道沿いに乱立する多種多様な路面店舗群の中で、「地域の噂になり、集客に寄与する建築」「長い年月を経ても魅力が陳腐化しないこと」をデザインのベースにおき、歴史ある地元資源として丹波材の杉・桧を豊富に使った中規模木造建築という方法で応えました。

国道に対し、斜めに大きく構えたファサードは西に面するため、日射抑制効果と時とともに影が織りなす印象の変化、有機的であたたかい雰囲気を訴える丹波杉ルーバーをランダムに配しています。
運営会社の本社オフィスと別業態の店舗も入るため、利用者の店舗間の移動と日射抑制・雨避けに配慮させた廻廊状の軒下空間を配しました。
軒裏には、丹波杉の上小羽目板を全面に貼り、既存の携帯ショップにはない包まれるような温かい質感を出すことができました。
製材、施工会社とも地元のご協力を経て、当初から目指していた「工事そのものが地域の噂になり、地域に貢献すること」が叶いました。

鉄骨造よりもリーズナブルで、かつ環境負荷も少ない木造化への機運が高まっていることもあり、クライアントをはじめ沢山の地域の方々に、工事中から好意的な印象を持っていただくことが出来たプロジェクトとなりました。