小泉が理事を務めている木造建築のプロ向け勉強会「MOKスクール」の和歌山ツアーへ参加してきました。
盛りだくさんだったので、ちょっと長くなります。ご容赦ください。
SWINGからは新人スタッフ2人を加えて3名の参加です。
「紀州材」と呼ばれる良質な木材が産出されている和歌山県。
隣接する吉野が地続きで近畿地方から全国へ流通していたのに対し、紀州材はその立地上、海を渡って関東への流通が主となっていました。
現代では道路も整備されているため陸路による販路も広がってきています。
初日にまず訪れたのは、竹原義二さん設計、下山聡さん構造設計による「高田果園加工場」
南高梅で有名な梅干を加工する工場です。鉄骨で作られることが多い加工場ですが、梅干から排出される強い酸性分によりメッキや塗装がすぐに剥がれてしまい、その塗膜が梅干についてしまうこともあることから木造での建築を構想されたそうです。
ローコストで建築するために、材木を供給された山長商店さんの規格品在庫から決定されたという構造体は、巧みに部材同士がかみ合いながらせり出していき、粘りのある木材の特徴を生かしつつ合理的に組まれ、とても美しい姿で私たちを迎えてくれました。
奥の扉を開くと梅農園が見渡せ、まるで結婚式場のような神聖さすら感じました。
次に昼食を頂くために訪れた「秋津野ガルテン」は、木造の校舎だった建物を有効活用し、食堂や宿泊施設を併設した施設です。
そして、育林や伐採も行っている「山長商店」の製材工場にて、乾燥や製材の様子を見学です。高品質な製品をつくるための設備と熟練した作業。その意識とレベルの高さに思わずこちらも背筋が伸びる思いでした。
二日目は山へ登り、林業の現場見学からのスタート。
山長商店さんによる「架線集材」を実演して頂きました。急峻で奥深い山中で行われる高度な技術が必要となる集材作業は、日ごろ平坦な町で暮らしているととても想像できない壮大なスケール。常に危険と隣り合わせのその作業に従事されている方々あっての木材生産なのだと、直接お話を伺うことで強く実感しました。
そして今回は植林についても学べました。
各方面で話題になっている林業ベンチャーの「株式会社中川」の中川さんから話を伺いました。
衰退していると言われる林業という分野において、全国から就職希望者が殺到する組織をいかにしてつくり上げることが出来たのか。夢のようなホントの話をワクワクしながら聞かせて頂きました。
開発されたドローンによる苗の運搬など、作業の効率化だけでなく、林業経験の無い人や体力がない人であっても従事できる環境を生み出していました。
そして最後には、用意して頂いた急峻な斜面への植林体験。これだけ険しい斜面で体験するといかに大変な作業なのか実感できました。
そして、最後は龍神村森林組合で原木と製材所の見学。それぞれ現在の状況と取り組みを教えて頂きました。
最後に。ご協力いただいた山長商店の会長以下スタッフの皆さま、各所でご協力いただいた皆さま、そして何と言っても、全面的にご協力頂きました和歌山県庁林業振興課の皆さま、綿密に練られたツアーとても素晴らしかったです。ありがとうございました!
Koizumi