大阪の有名店で長く修行されたシェフとの出会いからプロジェクトがスタートしました。
長年の夢のイメージを求め約一年かけて探された立地は、うつぼ公園の西、オフィスと住宅がバランスよく集まる路面のスケルトン区画。
シェフのイメージは、チョコレートやケーキを高級な宝飾品のように扱うのではなく「普段使いのおやつ」として地域に根付かせたいというものでした。

シェフの想いから、「街とのかかわり方」に着目し、街に馴染むお店でありつつも「商品の要素をデザインに取り入れ、ほんの少しだけ主張する」ことが相応しいのではと考えました。
まず、美しいチョコレートやケーキが並ぶショーケースが浮き立つよう、店内は彩度を抑えた配色で統一しています。
テラゾー(人造砥ぎ出し大理石)のカウンターはあえて断面を見せており、その美しい断面とマッスな量感が、ケーキの層と呼応しています。
艶感をもたせた天井面も、ジュレやチョコレートのグロス感に呼応します。
手仕事の跡を残す壁のペイントは、シェフと一緒に私達も参加して仕上げ、趣き深い壁となりました。
美しいチョコレートやケーキに込められたシェフの想いが、「ほんの少しの主張」と共に空間からもお客様に伝わることを願いデザインしました。