奈良県有数のベッドタウンとして名高い登美ケ丘。昭和40年代に開発されたニュータウンでもあるこの地は、第一世代の高齢化も少しずつ顕著になりつつあり、第二世代ニューファミリーへ住まいの引継ぎが求められているエリアでもあります。
住まい手のご実家である築30数年のハウスメーカー住宅を改装し、第二世代として住まいを引き継いでいきたい、というご要望から設計がスタートしました。
動かせない軽量鉄骨造の構造筋交いの制限を受けながらも、全く新しい生活の場として住まいをリニューアルするため、プランニングの創意工夫が求められました。
既存住宅のマイナスポイントとして「室内が暗い」「区切られた独立キッチン」「床の段差」「暮らしにフィットしない間取り」が挙げられました。住まい手さんからは「家族の気配が感じられる」「子供たちがのびのびと暮せる」といったご要望があり、リビングを中心とした大らかで空気の流れるような一体空間が計画されました。子供室のある2階との繋がりも考慮し、床暖房とシーリングファンを取り付けた吹抜空間としています。洗面コーナーやスタディコーナーもキッチンから繋がるプランとしています。
日本の抱える空家問題や安易なスクラップ&ビルドに対する思慮深いアンチテーゼとしてご実家のリノベーションが広がっていくことを願います。
所在地 : 奈良市
概要 : 軽量鉄骨造2階建/築約30年
引渡し日 : 2015.03
写真 : 冨田英次
面積 : 改修部分約70坪