敷地は奈良県中部の大阪からもほど近い西和地域とよばれるエリアで、ロードサイド店舗が建ち並ぶ平均的な郊外の風景を形成する幹線道路(中和幹線)に面しています。
計画にあたり、動物病院という機能優先の用途に対して対処的に設計するだけでなく、患者さんエリアの待合室や外観をどのように特徴づけていくか、先生からのご要望を紐解いていきながら、機能性と情緒性の調和に配慮しました。
はじめに台形の敷地形状に対して、北側道路から敷地内へ斜めにアプローチする車動線だけでなく、満車時のスムーズな動線に配慮し南側道路へも通り抜けアプローチができるよう建物位置と駐車計画を決定しました。
幹線道路に対しては、動物病院の機能性や清潔感をアピールしつつ、飼い主さんが落ち着いて過ごせるサードプレイスカフェ的な寛げる雰囲気を醸成できるよう、植栽を施した外待合やエントランス・待合は、構造を表しにした木質的な設えとしました。
外待合は北側となるので、植物の生育や待合の明るさ感を確保するため一部を天窓としたテラスのような設えで、道路側からの意匠性も高まるよう工夫しています。
1階は、待合ストレスの軽減のため犬・猫を別にした待合室と外待合、犬(大型・小型)、猫とにゾーニング分けした4つの診察室、入院室や隔離室、ICUをはじめ眼科、エコー、X線など高度医療に対応する諸室を計画しました。
2階は、二つの手術に対応できる手術室、準備室、CT室など手術関連の諸室と、スタッフ交流、研修等に対応するスタッフルーム、執務室など施設のバックアップ機能としてゾーニングしています。
犬待合は構造アラワシの掛け込み天井の開放的な空間で、猫待合は木ルーバーで囲われたこもった空間とし、ペットの落ち着きに配慮しています。メイン入口とは別に二つのサブ入口を設け、外待合から直接大型犬用診察室へアプローチできる動線や、一般外来とは別に単独で必要な諸室へアプローチする動線も確保しています。
院内動線のシンプル化と処置室をコアとした回遊動線を意識し、日々の医療業務が効率よく行えるよう配慮されています。
1階の処置室は、日々の医療行為におけるメインの空間で、処置室内には〈診察台、ナースステーション、検査コーナー、薬局、注射コーナー、ICU、隔離室、X線室、エコー室、入院室、準備室〉など様々な室が絡み合って機能するよう計画しています。
また、動物病院ならではの設計対応として、防音・防臭・換気についてはレイアウトを吟味したうえで、壁天井への処置だけでなく設備配管に至るまで配慮しました。
細かな点ですが、ワンちゃん用おしっこスペースとして立ち上がりを付けた植栽を入口横に配置し、近くに水栓も確保しています。興奮したワンちゃんが院内で粗相をしても大丈夫な様にと待合や受付は600ほど床材を立ち上げ、日々の清掃負担を軽減しています。
外装は塗膜耐候性能の高いガルバリウム鋼板とし、雨がかりのない部分は板張りとして、機能と情緒性をバランスさせています。
当初は鉄骨造として基本設計を進めていましたが、急騰する建築コストに対してローコスト化を目指し、実施段階で木造へ設計変更がなされています。耐候性、防音、防振、耐震など様々な要件に対応すべく、細やかな配慮を積み重ねた動物医療建築が完成しました。
WORKS設計実績/事例
広陵おざき動物病院
広陵おざき動物病院
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