私たちは、これまで様々なシェアする場を設計し、実践を通して市場の肌感覚とともに設計のノウハウを蓄積してきました。
働く場をシェアする「シェアオフィス/コワーキングスペース」、暮らしの場をシェアする「シェアハウス」など、現在は様々な営みの場に深くシェアリングという概念が浸透しています。
改めてネットで検索してみると「シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービス」とあり、「欲しいものを購入するのではなく、必要なときに借りればよい、他人と共有すればよいという考えを持つ人やニーズが増え、そのような人々と、所有物を提供したい人々を引き合わせるサービスが注目を集めている。」とあります。
振り返ると、私たちがシェアする場の設計にはじめて携わらせてもらったのが、2013年のコワーキングスペースからでした。
「コモンルーム中津」
その頃の大阪には、まだシェアリングも一般化されておらず、シェアという概念も「コストを抑えられる」という理由から生まれたイメージが根強く「共有することで今までにない価値を生みだす」という目線で設計された場もまだまだ少なかったと記憶しています。それから数年経ち、いまではシェアリングという言葉も一般化し、シェアハウスやシェアオフィスの設計のご相談も多くなりました。
「コモンルーム梅田」
「シェアハウスHAYAOSAKA」
施設が市場に増え、マーケットが成熟化してくると、サービスやコンテンツの質が問われるフェーズに入ってきます。また私たちが軸足を置いている関西エリアは、東京と比べそもそも賃料が安く、専有する場合との比較においてコスト差という力点だけでは差別化しにくいこともあって、シェアスペースを設計する上ではハードルも高い地域特性だと言えます。
施設に求められる様々なニーズやヴィジョンを設計に盛り込むこと、また目指すポジションやブランディング、集まってほしいユーザー像やそこで繰り広げられる日常風景を思うこと、カタチやデザインに込められた意図や狙いの精度、もちろん事業採算を成立させるシビアなコスト感覚なども必要です。
様々なシェアリングスペースにおいて、空間が生み出す付加価値のあり方がますます問われています。
Kanayama