外壁を何で仕上げるか。
外壁は面積が広く建築コストを大きく左右するので、いつも頭を悩ませます。
一般的に多いのはハウスメーカーなどで主流となっている「サイディング」でしょうか。
リシン・モルタルなどの描き落としや、漆喰塗などの「左官仕上」は、とても風合いがあり高級感もあります。
しかしコスト的になかなか採用に至らない。
自然素材であれば「板張り」もその樹種や張り方・塗装色などで様々なバリエーションが考えられますね。
そんな中、私たちの仕事で案外これまで採用が少なかったのが「焼杉」です。
過去に一度だけ「鳥居町の家」で使いました。
この時は、鉄筋コンクリート造の一階部分を石貼りとし、二階の一部分を焼杉張にしました。
そして今回、久々に今建築中の「橿原の家」で採用。もうすぐ張り終わります。
昔から日本では、愛媛や瀬戸内の民家で多く使われてきました。杉材の表面を焼くことで出来た表面の炭化層によって、防腐性能などの耐候性を高めたものです。
自然素材なのですが、意外とメンテナンスフリーです。
塗装で仕上げた板であれば10年くらいで塗りなおしが必要になりますが、焼杉は30~50年はそのままでも待つと言われています。
安くて長持ちということもありますが、魅力は何といってもこの独自の表情にあります。
表面の炭化層は、少しメタリックな鈍い光を放っています。
ちょうど、鉛筆の芯のような感じですね。色で言えば「黒」なのですが、この光沢感の為か案外暗さは感じません。
なにより、自然素材としての風合いが目に心地よいですね。
まだ足場があるので近くからしか見ることが出来ませんが、足場が取れて全体が見えるようになるのが楽しみです。
Koizumi