「だんじり祭り」で有名な大阪府泉南地域の中心地ともいえる岸和田市。その旧市街地内での住宅の建替え計画です。
敷地内にはご両親の住む別宅があり、庭を挟んで2世帯が緩やかにつながる配置計画を提案しました。
庭に面するLDKは、吹抜け天井とし開口部も大きく開放的なつくりとなっています。
前面道路に面するアプローチの軒先は平屋のように低く抑えられ、奥へ行くに従い二階分の高さに上がっていく構成となっています。それにより大きな空間ヴォリュームは外からは分かりにくく、落ち着いた旧市街の街並みに対して控えめな構成となっています。玄関には、通り抜けできる玄関収納を豊富に確保し、玄関ホール横に用意された手洗いコーナーは、帰宅直後の手洗いができるように設えました。
旧母屋の床の間等に使われていた木材は、敷台や上がり框として再利用しました。アプローチの石灯籠や和室から中庭へ出る踏み石なども再利用しています。こうした材料を受け継いでいくことが住まいの歴史を語るきっかけとなり、家族の記憶を紡いでいくと考えました。
構造材は、日頃から私たちが採用している吉野杉とし、和室の天井には無垢の秋田杉を用いました。旧母屋が持っていた上質な空気感を継承することに配慮しました。
こうした無垢の素材たちが暮らしの年月の中で経年変化し、これから旧母屋に負けない味わいを生み出してくれることを願っています。
WORKS設計実績/事例
岸和田の家
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